山行記録

HAPPY BIVOUAC



初めての土砂降り登頂

2015.07.28

■1日目
自宅(バイク)→白州道の駅(泊)


しばらく遠ざかっていたテント泊登山に久し振りに行ってきました。
ずっと前から行きたいと思っていた甲斐駒ですが、なにせアプローチが遠い…。八ヶ岳でいう観音平から小淵沢駅までと同じくらいの距離だと思うのですが、登山の前後共にあの距離を歩くのはちょっとしんどい…。今回の山は長丁場必須だし。
ということで頑張ってバイクで行くことにしました。休みは2日。それでもまだ時間的に余裕が欲しかったので前日の仕事終わりに出発して現地入りしてしまおうということに。
しかも夜の高速は怖いので甲州街道を延々と…

道の駅に着いたのが9時過ぎくらいかな。甲府でガソリンが切れそうになるもスタンドは反対車線にしかないうえに市街地が終わりそう…というなかなかの緊張を強いられる場面を通過してやっとこさ見つけたスタンドで給油のために地面降り立ったのが4時間ぶりという、明日山に登るというのに体に優しくない強行軍。せめて早く寝てしまおうと道の駅手前に出来ていたコンビニでビールなど買って建物の屋根のあるところの細いベンチの上でシュラフカバーに潜り込んだ。山の方は雲がかかってよく見えない。雨なら黒戸尾根ピストンか…

■2日目
白州道の駅(バイク)→尾白渓谷駐車場〜日向山〜鞍掛山分岐〜大岩山〜烏帽子岳〜三ツ頭〜甲斐駒ヶ岳〜七丈第一小屋(泊)


夜明け前にタイマーで起きる。時期的に蚊の襲撃は覚悟していたが不思議なことに一晩中何の羽音も聞こえなかった。
ゆっくりと朝食を作り支度する。湧き水を汲もうとすると、注意書きに塩素が添加されてるとの記載が…、え?
しかし今日の行程途中に水場はないので6リットルほど汲んでいく。ずっしりと重くなったザックを再びバイクにくくりつけて尾白渓谷駐車場へ移動。バイクに暫しの別れを告げて登山開始。

日向山までなんということはない登山道(古い地図だからか記載されてませんでしたが、駐車場から矢立石までしっかりとした登山道がありました。)ですが、久し振りのテント装備に早くも息が上がる。
登山道をほんの少し逸れたところに展けた山頂が。


写真では赤っぽく写ってますが、実際はもっと白かったはず…

先ほどの赤いザックの先客さん。
携帯に向かってぶつぶつ言っていた。
会話しているようじゃなかったからなにかの記録だろうか…?
ちなみにこの人がこの日出会った唯一の人となりました。


ここから奇岩と砂地の斜面を一気に鞍部に下っていき、
突き当たりの岩壁を登って樹林帯に突入。
細い尾根の続く道。

日向山から約3時間。結構単調な道…
ここから先は地図にない道。

更に歩くこと3時間
ついに甲斐駒が姿を現しました。


大岩山から崖を落ちるように下り、細かいアップダウンを繰り返しようやく日向八丁尾根最後のピークである烏帽子岳に着きました。
ここで昼食です。

なにか気配を感じてすぐ傍の岩陰を見るとオコジョが顔を覗かせていました。



甲斐駒は雲の中を出たり入ったりしていました。


まだまだ道は長く遠い…


鋸もいつか行ってみたい山です。


結局1時間ほどのんびりさせてもらいました。
このときはその後の苦労を想像だにできませんでした。
ただちょっと重たそうな雨雲が近づいてきているのを見つけて慌ててパッキングを済ませ先を急ぎました。


いきなりですが甲斐駒山頂です。
この時点で5時を過ぎてます。
普段ならとっくにテン場にいるか少なくともすぐ手前まで来ているはずです。
ここからテン場のある七丈第一小屋までコースタイムで1時間半かかります。
この時期はまだ日が長いとはいえ明るいうちに着くのはギリギリです。しかも土砂降りです。

こんな事になってしまったのも三ツ頭から甲斐駒までの道をナメすぎて下調べをしてこなかったからです。
たくさん人が歩いている道だから迷うことはないだろうと思っていたのですが、いわゆる破線ルート…結構迷いました。
日向八丁尾根の方が明瞭だったと思うくらいです。
しかも当初は六合目小屋に泊まる予定だったのです。
今でもあの分岐を覚えていますが、尾根を逸れるような道があってコレは違うだろうと頂上の方へ向かっていくと下方から人の声が…
気付いたときには小屋は随分下の方でした。
ここで引き返せば良かった…と今は思います。でも引き返すという選択をどうしても採ることが出来ず山頂を目指してしまった…

雨が降り出したのはそれから30分くらいしてからでした。
まだ引き返すという選択肢を選ぶことが出来ただろうと今は思います。
でも進んでしまった…
いざとなればその辺でビバークすればいいやと…
実際ビバーク跡のある岩屋を見つけたりして雨を避けようと何度か潜り込んでみたりもしました。
でもやはり進んでしまった…

そして山頂。土砂降り。下山に使う黒戸尾根がどこにあるのかすら分からない。
地図上だと北東方面だがかろうじて見える尾根は南東方面に延びている。
北東の踏み跡を辿ろうとするも途中から先が見えないほどの急斜面に落ち込んでいる。
もしかしたら摩利支天方面かも…と疑いつつ南東の斜面を下っていく。
30分くらい下っただろうか。辺りは霧で遠くまで見通せない。
下方に大きな岩が見えてくる。岩の上には日本の剣が!
…摩利支天!!

これも中途半端な下調べのもたらした災厄でした。
ちゃんと調べていればこの剣の刺さった岩山が黒戸尾根の山頂付近にある有名な道しるべだと、もしくは何の知識もなければ奇矯な光景だと驚嘆しながら通り過ぎたことでしょう。
でもこのときの僕の精神状態は尋常じゃなかったのでしょう。
完全にその岩山を摩利支天と思い込み、道間違いを正すべく来た道を登り返し始めたのです。尽きかけた体力を振り絞って…

その奇行を正すことが出来たのは、情報でした。
ちょうどキツイ登りの後に一息入れたところで雨が止み、スマホを取り出して先ほどの岩山を検索にかけたのです。
……摩利支天じゃない!



テン場に着いたのは6時を回った頃でした。夏の日はまだ沈まず雨も止んでいました。
テン場にザックを下ろし飛び上がれそうな膝のバネを感じながらテン泊の受付をしてもらいに行きました。

振り返って一枚写真を撮りました。

小屋のご主人は留守のようで明日のお帰り際に払おうと決め、水場で顔を洗い喉を潤しました。めちゃくちゃうまい水でした。担ぎ上げてきた水がいかに塩素臭かったかと知りました。

テン場に戻りゆっくりとテントを張りご飯を炊いてカレーを温めて食べました。
残念ながらビールはなしです…

夜中にまた激しく雨が降り始めたのを夢うつつに知りましたが、ただただこんこんと朝まで眠り続けました。


■3日目
七丈第一小屋〜尾白渓谷駐車場(バイク)→自宅


目覚めるとなんだか冷たい…
嫌な予感が的中。雨漏りです…
寝袋がー

もう10年以上使っているんじゃないだろうかこのテント…
低地キャンプで雨に当たったのも随分昔のこと
前回の八ヶ岳の時にも夜中雨に当たったけどここまで濡れなかったからそろそろ寿命かなぁ…としんみり

とにかく今日はさっさと下山して風呂に入り、また延々とバイクに乗らなきゃなんで終わりはまだ先だ。
朝食を済ませパッキングをして小屋まで下り出てきたご主人に事情を話して料金を精算。長い長い黒戸尾根を下っていった。



editor's note
久し振りのテント山行記録です。今回は非常に反省するところの多い山行になってしまいました。中途半端な知識の上に生じる思い込みとは恐ろしいものだと実感しました。ふと立ち止まったあのときスマホを持っていなかったら正しい道を判断できたか?文明の利器に頼ることで大切な勘と判断力を鈍らせてしまったのではないか?実際今回の山行にこれまでほどの充実感を感じていないのはその辺りに原因があるんじゃないのか?電波で繋がっている感覚は必要だったか?この辺次回の宿題になりました。ともあれ無事に下山して清水の流れる川を渡り神社の鳥居をくぐり抜け駐車場で自分のバイクが変わらずそこにあるのを見つけたときはほっとしました。とりあえずバイクに乗り、あまり車の通らない道の脇で濡れた寝袋や荷物を乾かしてから”べるがの湯”で温泉に入り、併設の食事処で定食と○○○を飲み、駐車場脇の芝生に再び荷物を拡げてゆっくりしてから趣のある老舗で生信玄餅を買い、再び甲州街道をのんびりと自宅まで帰りました。